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今回のテーマ
「公共事業」を考える
「公共事業」という言葉にみなさんはどんなイメージを持っていますか?年度末の道路工事?ダム?景気対策?……いろいろあると思いますが、今回はその公共事業について考えてみたいと思います。
1月におこなわれた徳島県吉野川可動堰建設の是非を問う住民投票では、「計画反対」が90%を占めるという圧倒的な票差で住民の建設反対の意思が示されました。日本の大型公共事業は、誰の目にも、その矛盾・問題が明らかになってきています。
いま、公共事業に使われているお金は、自治省発表の行政投資実績を見ると、国と地方を合わせて、だいたい年間50兆円になります(左の図@参照)。一般会計に「公共事業関係費」として計上されるのは9兆7807億円だけですが、ほかに施設費や財政投融資の一部がくわわり、国全体では17兆円あまりになります。さらに地方負担分の行政投資があり、それらの合計が約「50兆円」になります。
公共事業をふやしても雇用は増えない
これまで政府は公共事業は景気対策や雇用をふやすために必要≠ニしてきましたが、建設省の資料では、この間公共事業を14.8兆円から16.6兆円にふやしたにもかかわらず、雇用は129万人から85.9万人に減っているということが明らかになりました(右下のグラフ@参照)。大型の公共事業は、ゼネコンのような大企業が大きな機械を使ってやるものがほとんどです。つまりお金はかかるけれども、そこで働く人はあまり増えないというのがひとつの特徴です。だから景気対策としてもほとんど役に立っていません。
しかし政府は、公共事業を見直すこともせず、さらに不必要な空港の整備、橋の建設、さらには首都機能移転などの大型公共事業をごり押ししようとしています。こうした日本政府の姿勢に、ここ最近、海外からも厳しい意見が相次いでいます。
「厄介な失敗作」──関西国際空港二期工事
そのいい例が、関西国際空港(関空)です。関空は1兆5000億円かけて94年9月に開港しました。しかし、航空会社が乗り入れるにはソウルやバンコクの空港にくらべて5倍以上の着陸料がかかるということで、撤退する航空会社もあり、年間16万回の離発着が可能なのに九九年度は11万8千回しか使われませんでした。にもかかわらず、さらに1兆5千億円かけて滑走路をふやすというとんでもない工事が進められています。いまでも経営が当初の「開港後5年で1年ごとの赤字はなくなる。9年後にはすべての赤字は解消」という見通しとは大きく狂い、赤字は九九年度だけで237億円、いままでの分と合わせると1333億円にものぼっているのに、です。
この問題を取り上げたイギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」も「関西空港は厄介な失敗作となってしまった。……第二滑走路は予算をはるかにオーバーするのは必至だからだ」(99年11月30日付)と厳しい意見を書いています。
日本に長く滞在している評論家のカレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、「1990年代の悲劇は巨額の金が公共事業に浪費されたことだ。このお金をうまく使えば年金制度を改善できたし、消費税を5%に引き上げなくてもすんだ。中高年サラリーマンこそ報われるべきなのに、リストラに直面しているのだから、彼らのために使うこともできただろう」(「毎日新聞」2月8日付夕刊)と話しています。
そんなムダな公共事業がすすめられるなかで、いまや日本の国と地方が抱える借金は645兆円(2000年度末──裏面のグラフA参照)にものぼります。赤ちゃんからお年寄りまで、国民一人あたり、510万円もの借金を背負っている計算になります。
これは世界的に見てもまったく異常な事態で、欧米の主要国が90年代のきなみ赤字を減らしている中、日本だけがふやしています。
そのしわ寄せは、社会保障に対する国の支出の削減や消費税の増税となって、わたしたちにおしつけられています。4月から介護保険もはじまりましたが、まだサービスのための体制も不充分で、また保険料・利用料が払えないため介護サービスを減らさざるをえない人がいるにもかかわらず、国は介護のための予算を減らしているのです。
ふくらむ公共事業の謎――背景にアメリカの姿が
ではなぜ、政府はそんな莫大な借金をつくってまで、公共事業を行おうとするのでしょうか。
まず大きな要因としてあるのが、こうした大型公共事業を行うゼネコン大企業と政府が癒着しているということです。政府はこうした企業から企業献金をもらい、その見返りに公共事業を行ってゼネコンをもうけさせているわけです。
しかし、それだけではありません。実は背後にアメリカとの約束があるのです。1990年に「日米構造協議」という機関がつくられ、そのなかでアメリカは日本にたいして公共投資を国民総生産の10%にしろと要求してきました(詳しくは左のQ&Aを参照)。この圧力に応えて、当時大蔵大臣だった橋本元総理大臣を中心に、その前10年間の公共事業の合計額の5割増、額にして430兆円の公共事業を10年間で行うという基本計画をつくりました。それが村山内閣のときに630兆円にふくれあがり、今にいたっているのです。10年の計画は13年に延びたものの、2003年まで、とにかく何が何でもこのお金を使い切るという大方針が日本をしばりつけているのです。だから「道路や橋が必要だから」公共事業を行うのではなく、はじめに630兆円を使い切ることが目的にあり、そのために公共事業をふやしていく、というしくみがあるのです。
このように、今の政府の「異常」ともいえる公共事業政策、経済政策の裏には根深いアメリカいいなり、大企業いいなりの関係があります。こうした状況をおおもとから変えていくことが必要です。
現在の日本には、国がさまざまな形で企業に指導したり規制するためのシステムがあります。今はそれが大企業やアメリカの利益をふやすために使われていますが、これからは、国民のためにこうしたシステムを活用しようというのが日本共産党の考えです。
公共事業も、これだけのお金を使わなければならないから、と大手ゼネコンむけのムダな事業をやるのではなく、今ほんとうに必要なもの、たとえばお年寄りのための施設をつくるとか、古くなって「危険」といわれている学校の改築や修理などを中心に行うことを提案しています。そういった生活に密着した比較的小さな事業なら、地元の建設会社などに発注でき、その中で雇用が増えるなど、地域経済の回復や就職難の解決にも大きな役割が果たせます。
逆立ち財政のたてなおしを
日本共産党は、こうしたアメリカや大企業のための公共事業が国の予算の主役になっている状態を変え、社会保障と国民のくらしを応援することにお金を使うべきだと考えています。公共事業予算を削れば、社会保障にも思いきってお金を使えるようになりますし、世界一高いといわれる大学の授業料の値下げや、消費税の値下げもできます。
何より、ムダをなくすことで、今の日本が抱えているばく大な借金を減らしていくことができます。
今、民主党や社民党との協力が進み、「政府の逆立ち財政をただそう」ということで、国会でも議論がはじまっています。
日本共産党は、もうじき行われる総選挙でもっともっと議席をふやし、できるだけ早く「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円」という逆立ちした税金の使い方をあらため、国民のための予算を実現したいとがんばっています。